韓国への出張は、IETFの59回目の会合で行ってきた。
IETFはHTTP、IP、TCP等、インターネットの基盤となっているプロトコルが定義された誰でも参加ができるノン・プロフィットの団体である。
現在はIP v6や次の世代のVoIPの基盤になると言われているSIP(Session Initiation Protocol)、MobileIP等が議論、定義されている。インターネットの最先端の標準技術が議論、検討される場所である。
今回は韓国のソウルのLotteホテルで会合が行われ、Korea TelecomやSamsung等韓国の社員たちが500人以上も参加し、韓国のインターネットに対する力の入れ方が目に見えた。
多くの参加者が、箱メーカーであるCisco、Avaya、Lucent、Bellや端末メーカーのEricoson、Nokia等の社員であり、参加理由の大きな理由は標準技術としてRFC(RFCだから標準技術という訳ではない。RFCには標準トラック、参照情報として扱われるインフォマーシャル、詩やいろいろなモノがある。)として公開される前から検討されている技術の検証を行う為、自社の技術を推奨、標準として前進させる事によるビジネスメリット(先駆者メリット)を獲得しようというのが大きな理由である。
日本からもいくつかの企業が参加していたが、欧米の参加企業の数に比べるとほんの一握りにすぎなかった。
IETFの会合は年に3回程度しか行われず、殆どのアクティビティはメーリングリストにおいて実施される。メーリングリストにおいて殆どのインターネットの標準技術が決められているといっても過言ではないだろう。
インターネットの標準技術になるまでの課程としては、ドラフト(ある仕様、要件が定義されたドキュメント)が個人名で投稿、後、WG(Work Groupの略で、特定プロトコルを議論するグループを意味する。)に重要であると認められると、WGアイテムとして扱われる。WGで更に該当ドラフトに関して議論がされ、いろいろと課題を解決した後にWGの最終コメント状況に入り、IESGというIETFの取りまとめグループにドラフトが投稿される。
IESGで認められるとRFCエディタに渡され、最終的にRFCとして公開される。
このドラフトを投稿するのは誰にでもでき、WGでの議論に参加するのも誰でもできるわけだが、ドラフトが標準として採用されるまでには、WGに対して貢献(他のドラフトをレビュー、コメントを行ったり、議論に参加する)する必要がある。
その為、殆どのWGでのキーマンの数は限られており(5〜8人程度)、数億人が使うインターネット技術が一握りの人間で定義されている事を意味する。これは逆を取るとどのような企業でも、インターネットの標準技術に対して影響を及ぼすチャンスがある事を意味する。
それでは、企業にとってのメリットとしてどのような事が考えられるだろうか?
ある標準技術を推奨、標準技術として扱われた際のメリット:
1.ハードウェアベンダーやソフトウェアベンダの場合は先駆者メリットが期待できる。
2.他の企業より該当ノウハウがあると見られ、採用先として優先される事が期待できる。
サービスベンダーやその他のベンダー、個人でもIETFのWGに参加するメリットは十分考えられる。
サービスベンダーやインテグレーション企業の場合、WGのMLでやりとりされる特定技術を使った将来の実装像や現行の課題が良く共有され、他のベンダーの思考、方向性を垣間見る事ができる。
企業としてこのような情報は、提供サービスや検討すべき技術として何を検討すべきかを教えてくれる魅力的な場、課題を解決する技術を開発する事により機会を見出すのに用いる事ができる。
個人にとっては、キャリア・アップ(次世代のメジャー技術を早めに手に入れる事で期待できる先駆者メリット)をする為の情報源として魅力的であろう。
以上、IETFに関して概要、参加するメリット、参加が無料、誰でも参加、ドラフトを投稿できる事を共有させて頂いた。是非、興味のある方は参加してもらいたい。特にIETFで議論されている項目をベースにビジネスを進めている企業は参加した方がいいだろう。

投稿日時:2004年03月18日 Blogger:シューベルト シダ Aka Dashi